OTAは集客装置。利益は自社で回収する設計へ。
自社予約の増加で依存を脱却
自社予約の増加は、ツアー事業の利益率と将来の指名予約を守る最短ルートです。
は便利ですが、手数料と顧客情報の制限によって「売れているのに利益が残らない」状態を生みます。
この記事では、2026年の収益配分構造を前提に、の集客力を活かしながら自社直販へ移行する具体策を整理します。
自社予約の増加を阻む依存の現実
利益ギャップ:15〜30%の手数料は固定費以上に重い
日本の中規模ツアー事業者を想定し、年間売上¥30,000,000・依存度70%(¥21,000,000)で試算します。
OTA手数料15〜30%なら、年間¥3,150,000〜¥6,300,000が手数料として失われます。
これは広告費ではなく、オーナーの純資産や事業評価額を直撃する損失です。
一方、直予約の決済手数料は2〜3%程度に抑えられ、同じ売上規模でも利益に残る金額が大きくなります。
| 比較項目 | 経由(売上¥21,000,000) | 直予約(売上¥9,000,000) |
|---|---|---|
| 手数料率 | 15〜30% | 2〜3% |
| 手数料額 | ¥3,150,000〜¥6,300,000 | ¥180,000〜¥270,000 |
| 手数料差引後の売上 | ¥14,700,000〜¥17,850,000 | ¥8,730,000〜¥8,820,000 |
| 顧客データの所有 | 原則不可・制限あり | 取得・蓄積・再活用が可能 |
| 事業価値への寄与 | 資産化しにくい | 顧客データが になる |
売上が伸びても利益が薄い理由
:直予約の前にを見ている人が多い
ビルボード効果とは、や比較サイトで見つけた後に、公式サイトへ移動して予約する行動が増える現象です。
つまり、が「認知の看板」になり、実際の売上は公式サイトで回収できる余地が生まれます。
消費者の75%がを閲覧したあとに公式サイトで予約しています。
この流れがビルボード効果の代表例です。[1]
また、で探し始めた旅行者の18%が最終的に直予約へ移行しています。
OTAは捨てるのではなく“入口”として使う
データコントロール:顧客情報が取れないことが最大の機会損失
では顧客データが限定的で、再来訪やリピート施策が打ちにくい状況です。直予約ならメール・嗜好・参加履歴を蓄積でき、やリピート促進に直結します。自社予約を増やすための基盤要件
:表示速度の重要性
旅行サイトでは0.1秒の遅延でが10.1%低下します。これは「少し遅い」ではなく、売上が流出する“漏れ”です。さらに、モバイル体験が遅いと直帰率が123%増加しサイトはそのリスクが非常に高いです。[3]
必ずを確認してください。
200ms超は失敗であり、潜在顧客をへ送り返してしまうラインです。
モバイルファーストの予約導線
- ファーストビューに「今すぐ予約」
- 予約完了まで3〜4クリック以内
- 価格、所要時間、集合場所、キャンセル規定を最初に明記
決済の安心感
クレジットカードに加え、 / などのを導入すると離脱率を下げられます。迷いなく支払える設計が直予約の成否を分けます。
社会的証明は“心理的な必須条件”
旅行者がを使う理由は、価格だけではなく「知っているから安心」という“知覚された安全性”です。
だからこそ、直予約の場面では安心を体感させる設計が必要になります。
単なるベストプラクティスではなく、不安を消すための必須条件です。
予約導線に信頼指標を埋め込む
最後のクリックでのためらい()は、決済直前に起きます。そこで、以下を予約フォームのすぐ近くに配置してください。
- 認知度の高い決済ロゴ(Visa/Mastercard// など)
- とセキュリティバッジの明示
- 「このツアーに限定した」最新レビュー
レビューは“体験ページの直下”に置く
旅行者は「自分と似た目的の人の声」を探します。トップページではなく、ツアー詳細の直下に最新レビューを置いてください。
ユーザー生成コンテンツでリアルを担保
ストック写真より、実際の参加者の写真・短尺動画のほうが信頼を生みます。許諾を得て掲載し、体験のリアルさを可視化しましょう。
で権威づけを作る
有名人やインフルエンサーの推薦は「このツアーは信頼できる」というを生みます。では再現しにくい“顔のある権威”を示せるのが、公式サイトの強みです。
価格心理と限定性で「直予約がお得」を作る
ベストレート保証を明文化
公式が最安というメッセージがあるだけで、比較検討の重心が公式に戻ります。価格差ではなく「公式が一番安心」と印象づけるのが狙いです。
値引きより“価値追加”
割引の代わりに、無料アップグレード、装備レンタル、24時間キャンセルなどを提示すると、単価を守りつつ直予約に誘導できます。
でABVを上げる
中価格帯の“おとり”を置くと、プレミアムが「賢い選択」に見えます。
コーヒーの例と同じで、小¥450 / 中¥520 / 大¥590のように中を置くと、人は「少し足せば最大サイズ」と感じます。
ツアーでも、スタンダード / スタンダード+ / プレミアムの3段階を用意し、プレミアムの価値が最も際立つ配置にしてください。
これがを押し上げます。
で“得”を可視化
直予約価格の横に高いを打ち消し線で表示し、比較の基準点(アンカー)を作ります。たとえば「通常¥18,000 → 直予約¥14,500」のように、公式サイトが最も合理的に見える参照点を提示してください。
海外旅行者向けの直予約設計
日本のツアー事業者にとって、渡航前のコミュニケーションチャネルを自社で持てるのは直予約だけです。経由では顧客とのやり取りが限定され、到着前の不安解消や追加提案が難しくなります。
海外旅行者は、 / の即時決済と24時間自動の予約確認を前提に行動します。これがないと、直予約は「不便」に見え、最終的にアプリの利便性に負けます。
高度な獲得チャネルの設計
の無料露出
Googleマップ・検索上に直接掲載できるため、と同列の視認性を確保できます。手数料を払わずに“発見”を作れるのが最大の利点です。[4]
メールで再来訪を促進
カゴ落ちメール、参加後のフォロー、季節ごとの提案は再予約を生みます。直予約を軸にしたマーケティングは、サービスSNS運用とも相性が良い施策です。
「sunset kayak tour downtown harbor」のようなを狙うと、競合を避けつつ高いが狙えます。直予約の41%がオーガニック検索から発生するため、は収益直結です。[5] 多言語対応は翻訳サービスと組み合わせるのが最短です。
直販は今後さらに主流になり、2030年には約¥61兆規模に成長すると予測されています。
早期に直予約基盤を整えるほど、成長の波に乗れます。[6]
実例:Tasty Tours NYCの分配最適化
小規模ツアー運営のTasty Tours NYCは、に依存せずに成長しました。
内訳は下記のグラフに示しています。
元記事では、創業当初は複数の在庫更新を手作業で行い、オーバーブッキングのリスクが高かった点が課題として挙げられています。
そこで在庫の自動同期と予約管理を一元化し、導入は「15分で完了した」というスピード感で立ち上げ。
さらにAirbnb Experiencesへの早期連携や、公式サイトの「Book Now」導線(直予約の約30%)を整備し、直販と外部チャネルの両立で“利益が残る配分”を作っています。
比較:運用 vs プロ設計
の強み
- 初期コストを抑えられる
- 小さく試して改善できる
の弱点
- 速度・・・多言語の全体最適が難しい
- 予約導線の設計ミスが利益を圧迫
プロ設計の強み
- 収益構造に直結する導線設計
- 速度改善・計測・改善のが回る
- 直予約比率の改善に集中できる
まとめ:自社予約の増加の要点
自社予約の増加は、の集客力を活かしつつ利益を回収する戦略です。
速度・導線・信頼・価格設計を揃えると、比較検討の最終局面で勝てます。
次の一手は、直予約の設計を“数字で”点検することです。
参考文献
- "The Billboard Effect". https://sha.cornell.edu/about/news-and-publications/news/newsdetails.html?id=783. Accessed 2026-02-07
- "Latest Trends in the Hotel Industry". https://www.siteminder.com/r/latest-trends-in-hotel-industry/. Accessed 2026-02-07
- "Find out how you stack up to new industry benchmarks for mobile page speed". https://www.thinkwithgoogle.com/intl/en-154/marketing-strategies/app-and-mobile/mobile-page-speed-data/. Accessed 2026-02-07
- "Google Things to Do: A Guide for Experience Businesses". https://arival.travel/google-things-to-do-a-guide-for-experience-businesses/. Accessed 2026-02-07
- "Direct Bookings Dive, OTAs Rise". https://arival.travel/direct-bookings-dive-otas-rise/. Accessed 2026-02-07
- "Direct Booking Trends". https://www.hospitalitynet.org/opinion/4108608.html. Accessed 2026-02-07
- "Tasty Tours NYC case study". https://www.bokun.io/casestudy/tasty-tours-nyc. Accessed 2026-02-07
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